乃南アサ著「未練」
<あらすじ>
ふと入ったカレー屋で音道は、男が店主に「こいつは俺の女房を殺した」と怒鳴る場面に遭遇する―男同士の絆が無惨に引き裂かれてゆく様子を描いた表題作。公園の砂場で保育園児が殺害され、その容疑者の素性に慄然とする音道…「聖夜」。監禁・猟奇殺人・幼児虐待など、人々の底知れぬ憎悪が音道を苛立たせる。はたして彼女は立ち直れるのか?好評の音道シリーズ短編集第二弾。
古物商の事件は未解決のまま。全ての事件がが解決するわけではない事を我々に気付かせてくれた。しかし報われない。このあとで「鎖」が出されたと思われる。しかし立ち直って彼女が直面した事件は幼児虐待。これが一番印象的であり、堪えた。現実に溢れているだけに辛い。でも彼女はいいなぁ。何というか、考え方も生き方も鼻に付くところがない。むしろ自分に近いと思わせる自然な立ち居振る舞いを、男社会の中で見事にしている。これが読者の共感を呼ぶんだろうね。