畠中恵著「ねこのばば」
<あらすじ>
お江戸長崎屋の離れでは、若だんな一太郎が昼ごはん。寝込んでばかりのぼっちゃんが、えっ、今日はお代わり食べるって?すべてが絶好調の長崎屋に来たのは福の神か、それとも…(「茶巾たまご」)、世の中には取り返せないものがある(「ねこのばば」)、コワモテ佐助の真実の心(「産土」)ほか全五篇。若だんなと妖怪たちの不思議な人情推理帖。シリーズ第三弾。
久しぶりの「しゃばけ」シリーズ。以前よりも少しそれぞれのテーマが思いような気がした。とは言え、ほんわかした雰囲気の中で事件は進行するからそれほど暗くはならないが。佐助の昔話は胸が痛かった。お春の婚礼話は少しせつなかった。それでも若旦那は心優しい妖たちに守られて、死にかけつつも暮らしていくのだろう。せめてもっと早い文庫化を望む!