久坂裕著「遠い月」
<あらすじ>
隅田川に架かる両国橋のたもとで首を絞めて殺された女の死体が見つかった。殺された女はこの辺りで夜ごと客を引く夜鷹であった。その死顔に哀れと無念さを見た、南町奉行所吟味与力室伏忠慶は、配下の同心たちに事件の探索を命じた。そして浮かんできたのは意外な男だった…。明日を夢見て懸命に生きていた女の命を奪った下手人に室伏が怒りの十手を振り下ろす!
地味な印象ながらも確実な手ごたえを感じて、先へ先へと進ませる。忠慶の裏の部分というか、闇の部分の布石もあって次への期待も覗かせる作品で、なかなか面白い。2巻にしてすでに馴染んでいる感もあり、1巻で出てきた奉公人などが出てこなくて淋しかったところもある。いずれにせよまた次巻が楽しみなシリーズ。