稲葉稔著「おしどり夫婦」
<あらすじ>
浅草蔵前の札差、江橋屋の倅・音吉が何者かに連れ去られ、二百両の身代金を要求された。相談を受けた臨時廻り同心の横山秀蔵は、下手人捕縛に動くが失敗。その後、音吉の死体が発見された。困惑する秀蔵に、従兄弟の浪人・荒金菊之助が助となり探索に奔るが、手掛かりは掴めない。そんな時、菊之助の女房・お志津が漏らした一言が切っ掛けとなって…。第七弾。
毎度この人の読後感想に書くことだが、ひとつの事件をじっくり長編で読めるというのは本当に素晴らしい。それには緻密な筋立てが必要で、書くほうもじっくり腰を据えて書かないとグダグダになってしまう。しかし最後には上手くまとめてくる力があるからこその長編だ。とくに今回のラストには泣かされた。いいシリーズだ。