稲葉稔著「鬼は徒花」
<あらすじ>
極悪非道な盗賊の頭“黒緒の金松”を葬るよう密命を受けた佐久間音次郎は居所を探るため、再び牢屋敷に戻ることになった。牢内で掴んだ手がかりをもとに奔走する。そんな音次郎にある知らせが届いた。ついに妻子殺しの真相が明らかになる。
今回は面白かった。稲葉氏の本来の持ち味というものが出ていて、じっくりと真相に向かって詰めていくというお話だった。片っ端から切って捨てるというのは短絡的すぎるような感じを受けるから、今回のようにちょっと複雑な事件をコツコツ解いていってくれるのがいいなぁ。妻子の仇も討てたし、憂いはあの子供だけだが…。定町回りの同心とはニアミスで終わったが、今後関わってくるのだろうか。