藤井邦夫著「影法師」
<あらすじ>
常陸国から行方知れずになった亭主を探しに江戸に出てきた女が見たものは…。両国橋から身投げをしようとした、商家の丁稚を助けた、弥平次の手先を務める勇次の男伊達…。父の形見の大八車を盗まれ、殺しの下手人にされた男の胸の裡を伝う涙…。遊び人風の男が殺されたところを見たはずの子守の少女が口を噤むわけは…。待望の書き下ろし新シリーズ。
秋山目線が弥平次目線に替わっただけで、ほとんど久蔵シリーズと変わらない。いい意味で流れを汲んでいて、とても読みやすい。ただ弥平次を主としたおかげで手下達の働きがよりクローズアップされて、地道な捜索が実を結ぶ過程が判っていい。久蔵シリーズ・弥平次シリーズ・半兵衛シリーズと全て違う出版社なのも一興。