佐伯泰英著「邪宗」
<あらすじ>
長崎海軍伝習所で藤之助は剣術教授方に就いた。闇討ちを図った千人番所の佐賀藩士を撃退し、出島の西洋剣術に豪剣藤源次助真で相対する。商家の美貌の娘玲奈との出逢いは異国への眼を開かせた。拳銃撃ちを覚えた藤之助を玲奈は、隠れきりしたんのミサに誘う。邪教狩りの追っ手が二人に迫る。緊迫の第4弾。
風雲渦巻く幕末、この時代は割と苦手だ。なんだか全体にゴチャゴチャした印象だし、日本という国自体が井の中の蛙ということがどこをとっても判ってしまうから、読んでいていたたまれない気がする。特に訳の分からない言葉が錯綜する長崎や横浜は避けて通りたいところであるが、馴染めない名前や言葉を何とか掻い潜って、藤之助の闘いを読む。そこだけは素晴らしい。やはり侍にはこれ!武士がチーズをつまみにワインを飲んでいても違和感が残るだけだ。面白いけど、このまま維新を迎えるとなると辛いものがあるなぁ…。