井川香四郎著「情け川、菊の雨」
<あらすじ>
江戸の大店や札差の蔵が正体不明の盗賊たちによって荒らされる事件が連続しておきた。不可解なことに、賊たちは蔵の鍵を開けたり壊したりという痕跡を残さず、千両箱の中身だけを盗んでいった。行人坂にある煎餅屋が怪しいと睨んだ、南町奉行所の定廻り筆頭同心の近藤信吾だったが…。
ふろしき同心の第2巻。1巻目よりも法螺が少ないように思う。法螺というより、真理を説いているからだと思うが、信吾の口も滑らかで思わず納得してしまう事ばかり。船宿に集まる仲間も素晴らしいが、手下もうまい具合に育てていて、今後活躍しそうな予感。2巻になって、信吾が急に頼もしく見えてきたのは何故だろう?任せておけば何とかなるという確かなものがあって安心して読める。この勢いを忘れないまま3巻へ。