和久田正明著「風の牙」
<あらすじ>
靫職人夫婦の赤子が拐かされた。功名心に走った南町奉行所の当麻三郎助は、下手人を捕らえる為に単身、身代金の受け渡しの場所に出向いたが、一味を取り逃がした挙句、拐かされていた赤子まで死なせてしまった。しかし、同輩の同心・成沢東一郎は事件に不審を抱き探索を始めた。
八丁堀同心・成沢東一郎の活躍を描くシリーズ第二弾で4編から成る。
事件そのものはそれほど複雑ではないが、短い一話の中に人と人との繋がりや、情が見事に絡み合っていて、熟練の技を感じる。「乙女ちゃんシリーズ」よりも確実に進化している印象を受ける、とても読みやすく、離れがたい小説だと思う。